カジノ法案がスピード可決した。カジノよろしく、私たちに考える隙すら与えない妙手は、さすが「新しい判断」で公約違反を帳消しにした名宰相である。
カジノの良否については巷でも広く解説されているのでここでは敢えて触れない。しかし「治安悪化や賭博依存の対策費はその収益で賄えばよい」という発想だけは絶対に看過できないので左記にその旨を記す。
まずこれは「カジノで儲けた金で借金を返す。それに自分がこの勝負で負けることは絶対ない」と豪語するのに等しい。皮肉だが究極の賭博師的発想である。
※厳密には違うかもしれないが、「儲けで損失を補てんしていかないと機能しない」という意味においては「自転車操業」とも言える。世界に冠たる一等国が博打を自転車操業で回転するというのだから世も末である。
もちろんこれが誤りであり危険でもあるのは言うまでもない。実際にはカジノの収益が伸びず、犯罪数や依存症患者だけが増長することも十分にあり得るからだ。
そしてもしそうなれば何の手の施しようもなくなるが、その頃にはこの法案に賛成した人々は皆勝ち逃げしているので責任の所在さえ特定できなくなる(この国のいつものパターン)。後に残されるのは、「こんなはずじゃなかった…」と悲嘆に暮れる、カジノを誘致した街の人々と賭博依存症の患者だけである。
(2016/12/02毎日投稿→没)
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