2011年11月25日金曜日

内田樹の研究室より

以下は全て内田樹氏のブログから抜粋し、自分なりに解釈し直したモノ
http://blog.tatsuru.com/2011/11/24_2042.php


マレーシアのマハティール、シンガポールのリー・クワン・ユー、小国の元首であるにもかかわらず、世界中からその言動は注目された。それは国際社会が傾聴するに足るだけの堂々たるヴィジョンを語ったからである。

その一方で…

「我が国の国益に合った場合は云々…」とか、「どうやったらバスに乗り遅れずに済むか」というようなことだけ考えている人間の話を、誰がまじめに聞くだろうか!?

それに…

アメリカはこれからどうなるのか?もし来年共和党の、茶会が支持するような大統領が選出されたら、アメリカの世界戦略はどう変わるのか?

中国のポスト胡錦濤政権がどうなるか?社会的インフラがこれ以上ほころび、格差がこれ以上拡大したときに中国がどうなるかなんて誰にもわからない。

EUはどうなるのか?いくつかの国が脱退して、空中分解する可能性だってある。

ロシアはプーチンが出てくる。
アメリカの大統領にうっかり国際感覚のまったくない人間が選ばれた場合、プーチン相手で勝負になりますか?米ソ関係は一気に緊張するかも知れない。

それに、プーチンなら「北方領土返還」というような提案をいきなり出してくる可能性がある。
当然それは「沖縄の米軍基地の撤去」を交換条件にした、ロシアにとって(或いは日本にとっても)画期的な交渉かもしれない。

etc…

そういう世界がどう変わるか全く予断を許さない状況にあるときに、「国際競争で勝つ」というのは、一体何の意味を成すのだろう!?

確かに、日米安保もEUも中国の政体も全部「今のまま」なら、そんなバスには便乗した方が楽かもしれない。

しかし…

「激化」してるのは国際競争ではなく、構造そのものなのである。

これからはどうやって共同体を再生させてゆくか
乏しい資源をどうやってフェアにわかちあうか
競争的環境を抑制して、お互いに支援し合い、扶助し合うネットワークをどう構築するか

ということが喫緊の政治課題となる。
そういう歴史的状況の大きな変化が始まっているのを、野田さん始め私達の多くは未だ気付いてはいない。

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