以下はある小学校内での寓話である。
そのクラスにはアベ君という級長がいた。
彼は何かにつけて「僕が責任者だ!」とか「絶対にあり得ない」と主張するくせに、本当に何かが起こるとすぐ言い訳をする癖の強い人間だが、彼に代わる人間がいないので皆仕方なく従っている。
ある時そこに虚言や奇行癖があるキム君が転校してきた。
クラスの皆は「そんな人間は無視すれば良い。誰も相手にしなければ落ち着く」と思っていたが、アベ君だけは執拗に彼を責め立てた。
彼に煽られ、キム君を責める人間も少しづつ増えていった。
案の定、クラス内に不穏な空気が漂い始めた。
ただ喧嘩の強そうなキム君に対し、臆病なアベ君は直接行動に移すことができない。
そこで最年長のガキ大将であるトランプ君に相談し、学校全体でキム君を懲らしめるという話になった。
ただ後で分かった話だが、それは「毎月トランプ君に小遣いを上納する」という条件付きだった。
その後キム君はおとなしくなった。
ただ私たちは毎月アベ君から小遣いを徴収される破目になった。
アベ君はそのたびに「これもクラスの平和のため」と微笑みながら言った。
新学期になり、キム君はまた転校し去っていった。
でもなぜか小遣いの徴収は続けられた。
その後、トランプ君とアベ君がコンビニで買い食いしている姿が頻繁に見受けられたが、その頃にはもう誰も何も言えなかった。
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