お忍びでローマの休日したつもり
おみやげは誰に渡すのお父さん
インスタ映え違うところで大炎上
岸田首相の長男でもある秘書官が公用車を私的乱用した疑惑が話題になっている。ただ私は、疑惑そのものよりも、「政治家としての首相の土産購入なので問題はない」という、罪の意識が全くない政府側の見解の方が問題だと考える。
ふつう土産というのは、旅行者が家族や懇意な人に贈る私的なものである。日本特有の、出張した会社員が同僚へ配る土産もあるが、それとて購入費用は自腹が基本である(民間企業なら経費として許されることもあるが、公務員なら絶対許されない)。
しかし今回の岸田首相は旅行者でも会社員でもない。日本の代表として国益を確保するために歴訪したのである。もし土産を買うとしたら、それは日本全体の経済や平和維持などに寄与するものでなければならない。つまり公用車の私用云々以前に、岸田氏側が身内や政治家仲間だけに土産を配ろうとした時点で職権乱用なのである。そんな至極当然のことを、政治家の先生方は無論、糾弾する側の私達まで忘れてしまっている。日本で政治家と利益団体の贈賄事件が余り問題視されないのも奈辺にあるのではないだろうか。
岸田首相が先の施政方針演説の中で今の少子化問題を「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」と訴えたことについて、私は二つの疑問を呈する。
まず一つに、少子化は今に始まったことではなく、何十年も前から予測されたことである。そしてその期間の殆どは自民党が日本の舵取りをしてきた。つまり瀬戸際まで追い込んだ責任は自民党にもあるはずなのに、先の演説からはその当事者意識が全く感じられない。まるで他人事のように、延々とお題目を並べたてるだけである。「これで私を信用しろ」という方が異次元の世界だろう。
もう一つは、少子化問題が瀬戸際という認識が首相の心中にあるなら、この問題を差し置いて防衛費増強を先に議題に上げたりはしない。少なくても少子化の原因を考えるふりくらいはするはずだ。しかし現実には、国民が物価高で困窮しているなか、首相本人がわざわざ米国まで赴きミサイル購入を大統領に報告しに行っている。私は思う。首相の思考は私達とは全く次元が異なるのだと。そしてその方向性を変えない限り少子化問題は解決しないのだが、首相には変える意志がない。聞く力は何処へいったのだろうか。
先の戦争時、時代は航空戦にシフトしていたにも関わらず戦艦大和や戦艦武蔵を建造し起死回生を願った。
日本の高度経済成長を支えた家電業界も今は斜陽産業。にもかかわらずテレビや炊飯器などを品質重視を売りとして忍耐強く売り続ける。
時代遅れの五輪や万博を、地域活性化の材料として誘致し続けるのも似たような発想かな…
ゆるキャラがブームになれば日本中に着ぐるみキャラが登場し、猫駅長が有名になれば犬店長だの鳥館長が出没する。
○○カフェが流行れば、△△カフェや□□カフェ。
マラソンブームになれば雨後の筍のようにマラソン大会が開催され、○○消費日本一が話題になれば役所自ら予算を出して応援する。
二番煎じであることには一切引け目を感じず、ただ流れに乗り遅れないようにと真似をする。
岸田首相の最近の会見の中で、氏の訴える「先送りできない問題」の内容が私にはどうしても解せない。
まず敵基地攻撃能力が先送りできない問題だとして、それならなぜ日本は戦後80年近くそれなしで戦争に巻き込まれることがなかったのだろうか。それにその財源を法人や喫煙者だけに強いるのも不公平だし、国債で賄うとしたらそれはただ単に資金繰りを将来世代に先送りしているだけである。
また原子力発電の再稼働が先送りできない問題だとして、それでは放射性廃棄物の処理を数万年後の世代にまで先送りするのは許されるのだろうか。もしメルトダウンが起きたとして、政府にその責任を取る覚悟はあるのだろうか。どうせまた「想定外だった」として先送りされるだけだろう。
そして4日の年頭会見では、より様々な先送りできない問題を多数挙げていたが、旧統一教会と政治家の癒着、沖縄だけに偏った在日米軍基地、全く進展のない北朝鮮の拉致問題などは一切触れられていなかった。国民の支持を集めやすく聞こえの良い問題だけを訴え、政府には耳の痛い話や複雑で取り組みにくい問題は世論に忘れられるまで先送りする。私はそれがどうしても解せないのである。