2016年11月6日日曜日

(読書)満州集団自決

以下はアマゾンレビュー投稿文を改稿したモノ。

中国人の土地を二束三文で半強制的に買い上げる移民政策を鳴り物入りで始めたのも、戦後の臭いモノには蓋をする理論で、孤児の帰還事業に独断で終止符を打ったのも岸信介。
そのような、国(岸にとっては自分の勤務先という程度にしか認識していないと思われるが…)や軍などの利益団体が潤うなら手段は選ばず、国民がその過程でどうなろうとも一切気にも留めないというのが(岸に限らず)昔からの日本の政治システムの典型だと私は認識している。

そしてそんな発想は、その孫に着々と受け継がれていると私は思うのだが、選挙に行く人の過半数はそれを訝しがることがないのが私には不思議で仕方がない(まぁ選挙に行かない人々が全体の過半数であり、彼らの態度が不明である間は何とも言えないが…)。

そんな訳で、本著のあとがきに引用されたホセ・ムヒカの金言を、私たち一人ひとりが胸に刻まないと日本は間違いなくその歴史を繰り返すことになると私は思う
本書を通して著者が訴えたかったことも、このあとがきに凝縮されているような気がした。

以下は読書中に書き殴ったメモ

・軍属や高級官僚の家族は、早い人では昭和20年の5月頃には既に日本に帰ってきていた。当然ソ連が参戦した時点まで残っていた人などいないだろう。その一方で生きた砦と化していた市井の人々にはポツダム宣言を受諾したこと情報すら入っていなかったか、或いはその情報を知ったとしてもそれを信じられない位まで洗脳されていた。

・ソ連軍による強奪やレイプも然ることながら、実際の死傷者数は日本に帰国する過程での病死や事故死の方が多かったらしい。

・大々的なキャンペーンによる国民総人柱移住計画に始まり、何事もなかったかのような棄民政策によって幕を閉じた一大悲劇。福島原発やもんじゅをはじめとする原子力政策や2020オリンピックにも通じるモノがあるような気がするのは私だけだろうか…

・長野県の或る村では、戦死者(と言っても戦闘死ではなく大概は餓死であるが)よりも、開拓者の死者の方が多いという事実はその悲惨さを如実に表している。

・引揚者が帰国して開拓した村の一つは六ケ所村らしい。つまり大陸で命を落とした人だけでなく、帰ってきてもその憂き目を見なかった人もいた(むしろその方が多かった)という悲しい現実…

・自ら望んで残った訳でもないのに「残留孤児」という呼び名はおかしい。そこには国や軍の責任は微塵も感じられない(本書より)。

・或る帰還者が訴えた「誰が何と言っても、日本の軍国主義者が悪い」という言葉が印象的。つまり戦中は虐げてきた中国人や朝鮮人から復讐されるだけの罪はあったにしても、ソ連兵には恨みがあっても良いはずなのだが、それよりも彼らは関東軍やその上の人々の方を恨んでいるのだ。

・もしも日本人と中国人の立場が逆だった(つまり中国人が日本を侵略して、結果的に敗走する羽目になった)時に、果たして日本人は中国人の子供を我が子のように寵愛できただろうか!?
私にはとても出来そうには思えない(島国根性丸出しの辺境の民と、何事も大らかな大陸気質の民の違いがハッキリしそうな気がする)。


満州 集団自決
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