2021年7月31日土曜日

フェアネス(Fairness)

グランツール(ステージ式サイクルロードレース)では、有力選手が不運なアクシデントに見舞われた時は、他の選手集団はペースを落とし、彼が戦列に戻るのを待つのが不文律になっている。
もちろん、彼を出し抜いてレースに勝つのは全然反則ではない。
しかし選手たちの本音は
「そんな卑怯な真似、お前はできるのか!?」
とか
「そんなんで勝っても、全然嬉しくないネ」
あたりだろう。

翻って、東京五輪2020を顧みる。
※因みに私は五輪そのものに一貫して反対で、中継も報道も一切スルーしているため現状は殆ど解らない。以下の記述はタイムラインで偶然目にした見出しや、単なる憶測を元にして書いていることを御了解頂きたい。

日本選手には、これまでのオリンピックとは比較にならない位のアドバンテージがある。
競技によっては「日本は勝って当然」位の不平等も存在するのではなかろうか。
もちろん、これについては選手たちには何の罪もない
「少しは手加減しては?」と言いたい訳でもない(冒頭の不文律もグランツールだから出来る手加減である)。
ただ私は、先述のロードバイク選手のように、フェアネスについて突っ込んだ主張をする日本人選手を期待していた。
「こんな状況で開催しても誰もハッピーにはなれないょ!」
こんな捨て台詞を是非聴いてみたかった…

えにぃうぇい

そんな中、JOCの山下会長が記者会見で↓ような言及をしていた(↓リンクはその全容)。
「この状況下で、メダルの数云々は意味がない」
「選手たちには個々のベストパフォーマンスを発揮してくれれば充分」

さすが、選手時代にフェアネスについて身をもって体験した人物である(その所以を知らない方のためのリンク↓)。
恐らくこの辺りが、IOCや政治家の下僕の立場として言えるギリギリのところだろう。
もし氏が完全にフリーな立場だったら「全然フェアじゃない!」とこき下ろしていたはずだ(子供の頃にロス五輪に素直に感動した者としては、強くそう信じたい)。
そしてこれは、選手だけでなく、報道機関や一般国民に対するメッセージでもあると私は考える。
しかし残念ながら、その思いは彼らには全然伝わっていない。

選手の中からは自分が勝つことで開催に反対していた国民を見返したかったという旨のコメントが飛び出す。
果たして選手たちは、いったい誰のために、誰と闘っているのだろうか!?
まさか国や協賛企業のために、反政府的な市民と闘っている訳でもあるまい。

報道機関は相変わらず国別メダル獲得ランキングなるものを公表し、日本選手の活躍ばかりをこれ見よがしに喧伝している。
そもそも五輪は国同士の戦い否定しているので、国別ランキングは明らかに五輪憲章に抵触する。
それにメディアが五輪中継をする際、世界ランキング上位の外国人選手の不参加の経緯や、相手選手国のコロナウィルスの混乱状況をしっかり伝えているのだろうか!?
視聴者が感動すれば、そして視聴率のためなら、その辺は端折っても良いということは決してない。

一般国民もメディアに促される形で「〇〇、金メダル」速報に酔いしれ、開催強行派が思い描いた通りにテレビ中継に熱狂している。
御上から与えられる僅かばかりの娯楽によって日々の鬱憤を晴らし、メディアから流される都合の良い情報だけを頼りにしているとしたら、それはほぼ奴隷状態と言ってよい。

0 件のコメント:

コメントを投稿